月刊 IKKI 2009年 07月号 「ぼくらの」感想
2009年5月25日 『ぼくらの』関係 コメント (3)
以下、『ぼくらの』の原作のネタバレ感想がありです。
未読の方、コミックス派の方は自己の責任において閲覧をお願いします。
ネタバレを読んでしまったからといって、当方は一切責任を負いません。
『ぼくらの』
宇白順(6-2)
どういう戦いの決着をつけさせるんだろう……と思ってたものの、あと2回でちゃんと描く時間はあるのだろうか……?と思いきや案の定、戦いの最終場面は描かれませんでした。
まあ…こういう描き方こそが『ぼくらの』だなぁ……と何だか納得。
ロボットが出てくるからといって、戦闘メインで描く作品ではなくて、その戦いに伴うあらゆる事項をいろんな局面から見せつつも、本当に描きたかったのは死を前にして子供達がどう思って、どうやって戦う決意をしたのか、どんな理由で戦うのか……とかむしろ戦うことによって派生する周りの物語がメインだったものなぁ……と。
キリエ戦も、相手方パイロットがキリエと同じように《ぬいぐるみ》の外へ出てリストカット傷を見せてくれた後は、戦闘についての描写は一切描かれなかったし。
描かれたのは、キリエの従姉に対する「生き残って欲しい」という思いだったかと。
本編は、戦いのシーンは最初の見開きだけで。
再度、ジアースの全身から一斉に放たれるレーザー、そして……。
宇白の戦いの最後に関しての描写はなく、死の瞬間も描かずに。
ここらあたりから見開き祭りになります(笑)
……そして……ワクを先頭に、コダマ、モジ、ダイチ、コモ、マキ、ナカマ、アンコ、カコ、チズ、キリエ、カンジ、カナ、マチ……と歩きながら和やかにおしゃべりしている様。
死んでいった子供達が特に仲のいい子同士で笑いあっているのを見ただけで、もう、たまらなくなってしまって……号泣です。
カンジとカナ、そしてマチが振り返ると、少し離れた所にウシロが追いついて歩いてきます。
3人とも、直前までウシロのことを思っててくれた子たちです。
ウシロが追いついたとき、1巻の冒頭で見たのと同じモノローグが……。
「中学生になった時、」
「ぼくらはもう1人前で
自分でなんでも出来ると思った。」
ジアースに出会った事で、本当の喜びや悲しみや怒りを知ったのだと。
でも、それと引き換えに命を失ってしまいましたが……(涙)
「ぼくら」とはもちろん、最初の自然学校で出会った仲間達。
そこに田中さんや関さんが居なかったのが少し残念ではあるけれど、彼らは「大人としての義務」で自ら志願してパイロットになったわけで、突然巻き込まれて非日常に放り込まれた彼らとは違ったから、でしょうかね……。
田中さんたちがこのシーンには居ないということで、やっぱりこの戦いはあの15人の「ぼくらの」戦いだったんだなぁ……と改めて思いました。
でも、今までの戦いを見守ってきた読者としてはこれだけでもうどうなったかが予想がつきますね。
ウシロの戦いは終って、ウシロは敵パイロットに(しらみつぶしではあったけど)トドメをさす事が出来て……そして、皆のところへ逝ったんだと分かりました。
ただ、ジアースの顔の最後の光点が消えていたこと。その事実のみ。
それだけでウシロの苦しい戦いは終ったんだ……と。
その後のジアース内は一切描かれず、場面変わって宇白家。
お父さんは、ウシロが転送されて消えた直後に、手当り次第に周りの物を壊して荒れていました。
その時からずっとパジャマのままで着替えもせずに、呆然としていたようです。
無精髭も生えてかなりやつれていたということは、深夜にウシロが転送されてからおそらく丸一日くらいは、そうしていたんじゃないでしょうか。
物を壊したあと、喪失感とか居たたまれなさとかで、きっとずっと座り込んでいたんでしょうね。切ないです。
そこへ呼び鈴を鳴らして、宇白父の生徒たちが大勢でやってきていました。
昨日ずっと電話をかけていたのに、繋がらなかったから直接来たらしいです。
そいえば、宇白父は真っ先に電話に八つ当たりしていたなぁ……。消える直前にウシロがどこかへ(アンコのお父さんに撮影を頼んでいた時でしょう)電話していたしな。
大変なのは分かっているけど、宇白先生には学校に戻ってきて欲しい、と。
実の娘と育ててきた息子は戦いで失ってしまったけど、「宇白先生」にはまだ大人の役目として導いてあげなければならない子供達がたくさん残っているんですよね。
その役目も、カナちゃんとウシロが戦って勝たなければ得られなかった未来です。
いつか宇白父には、息子の戦いを記録したビデオを見る機会が来ると思っています。
出来れば自分達の教え子に、15人の子供達がどんな思いで戦って、地球をあとに遺していったのかを語ってあげて欲しいです。その機会を宇白先生に与えてあげて欲しいです。
次号はいよいよ最終回です。
引継ぎ戦のパイロットは、やはり、コエムシ以外に考えられないと思っています。
いよいよ最後ですね……。
ここまで内容に呆然としたり、もう次読むのが怖くて仕方が無い!と思ったり……と振り回された作品は初めてでした。
でも、何故か嫌いになれない。むしろこの突き放した感じを追いかけたい!と必死になって読んできました。
これからこの漫画を読む人、読もうと思っている人は、子供達がどう死んでいくか、ではなくて
残りをどう生きようとしたのか……を見てあげて欲しいです。
それと、彼らが戦いの中でした選択を。
死を設定にしていながらも、そこにあるのは「強烈なまでの彼ら(ぼくら)の生き様」でした。
そこを敬遠していて読まないというのは、後々の読後感を考えると実にもったいないと思える作品だと思います。
最初は確かに「ロボットに乗って戦えば死ぬ」という設定に引くことはあるけれど、だんだんと次の子供はどうやって戦いに挑む決意をするんだろう、残りをどう過ごすんだろう、そして周りの大人達は……?
……と、目が離せなくなっていきます。そして「自分だったらどう考えて、どう過ごすだろう」ということも考えるようになります。
詳細をあまり描かずに突き放した簡潔さでエピソードを終える時もあるので、読者にはあれこれと想像する余地がたくさん残されています。実に想像力を刺激される漫画です。
そこにとても惹き付けられる作品でした。
最終回、どんな内容であってもついていきます。
「ぼくらの」戦いは無駄ではなかったと、後に残されたあの地球の人たちは、意識してそしてどれだけ「ぼくらの」戦いが大変なものだったのかを気づいて欲しいなぁと思います。
未読の方、コミックス派の方は自己の責任において閲覧をお願いします。
ネタバレを読んでしまったからといって、当方は一切責任を負いません。
『ぼくらの』
宇白順(6-2)
どういう戦いの決着をつけさせるんだろう……と思ってたものの、あと2回でちゃんと描く時間はあるのだろうか……?と思いきや案の定、戦いの最終場面は描かれませんでした。
まあ…こういう描き方こそが『ぼくらの』だなぁ……と何だか納得。
ロボットが出てくるからといって、戦闘メインで描く作品ではなくて、その戦いに伴うあらゆる事項をいろんな局面から見せつつも、本当に描きたかったのは死を前にして子供達がどう思って、どうやって戦う決意をしたのか、どんな理由で戦うのか……とかむしろ戦うことによって派生する周りの物語がメインだったものなぁ……と。
キリエ戦も、相手方パイロットがキリエと同じように《ぬいぐるみ》の外へ出てリストカット傷を見せてくれた後は、戦闘についての描写は一切描かれなかったし。
描かれたのは、キリエの従姉に対する「生き残って欲しい」という思いだったかと。
本編は、戦いのシーンは最初の見開きだけで。
再度、ジアースの全身から一斉に放たれるレーザー、そして……。
宇白の戦いの最後に関しての描写はなく、死の瞬間も描かずに。
ここらあたりから見開き祭りになります(笑)
……そして……ワクを先頭に、コダマ、モジ、ダイチ、コモ、マキ、ナカマ、アンコ、カコ、チズ、キリエ、カンジ、カナ、マチ……と歩きながら和やかにおしゃべりしている様。
死んでいった子供達が特に仲のいい子同士で笑いあっているのを見ただけで、もう、たまらなくなってしまって……号泣です。
カンジとカナ、そしてマチが振り返ると、少し離れた所にウシロが追いついて歩いてきます。
3人とも、直前までウシロのことを思っててくれた子たちです。
ウシロが追いついたとき、1巻の冒頭で見たのと同じモノローグが……。
「中学生になった時、」
「ぼくらはもう1人前で
自分でなんでも出来ると思った。」
ジアースに出会った事で、本当の喜びや悲しみや怒りを知ったのだと。
でも、それと引き換えに命を失ってしまいましたが……(涙)
「ぼくら」とはもちろん、最初の自然学校で出会った仲間達。
そこに田中さんや関さんが居なかったのが少し残念ではあるけれど、彼らは「大人としての義務」で自ら志願してパイロットになったわけで、突然巻き込まれて非日常に放り込まれた彼らとは違ったから、でしょうかね……。
田中さんたちがこのシーンには居ないということで、やっぱりこの戦いはあの15人の「ぼくらの」戦いだったんだなぁ……と改めて思いました。
でも、今までの戦いを見守ってきた読者としてはこれだけでもうどうなったかが予想がつきますね。
ウシロの戦いは終って、ウシロは敵パイロットに(しらみつぶしではあったけど)トドメをさす事が出来て……そして、皆のところへ逝ったんだと分かりました。
ただ、ジアースの顔の最後の光点が消えていたこと。その事実のみ。
それだけでウシロの苦しい戦いは終ったんだ……と。
その後のジアース内は一切描かれず、場面変わって宇白家。
お父さんは、ウシロが転送されて消えた直後に、手当り次第に周りの物を壊して荒れていました。
その時からずっとパジャマのままで着替えもせずに、呆然としていたようです。
無精髭も生えてかなりやつれていたということは、深夜にウシロが転送されてからおそらく丸一日くらいは、そうしていたんじゃないでしょうか。
物を壊したあと、喪失感とか居たたまれなさとかで、きっとずっと座り込んでいたんでしょうね。切ないです。
そこへ呼び鈴を鳴らして、宇白父の生徒たちが大勢でやってきていました。
昨日ずっと電話をかけていたのに、繋がらなかったから直接来たらしいです。
そいえば、宇白父は真っ先に電話に八つ当たりしていたなぁ……。消える直前にウシロがどこかへ(アンコのお父さんに撮影を頼んでいた時でしょう)電話していたしな。
大変なのは分かっているけど、宇白先生には学校に戻ってきて欲しい、と。
実の娘と育ててきた息子は戦いで失ってしまったけど、「宇白先生」にはまだ大人の役目として導いてあげなければならない子供達がたくさん残っているんですよね。
その役目も、カナちゃんとウシロが戦って勝たなければ得られなかった未来です。
いつか宇白父には、息子の戦いを記録したビデオを見る機会が来ると思っています。
出来れば自分達の教え子に、15人の子供達がどんな思いで戦って、地球をあとに遺していったのかを語ってあげて欲しいです。その機会を宇白先生に与えてあげて欲しいです。
次号はいよいよ最終回です。
引継ぎ戦のパイロットは、やはり、コエムシ以外に考えられないと思っています。
いよいよ最後ですね……。
ここまで内容に呆然としたり、もう次読むのが怖くて仕方が無い!と思ったり……と振り回された作品は初めてでした。
でも、何故か嫌いになれない。むしろこの突き放した感じを追いかけたい!と必死になって読んできました。
これからこの漫画を読む人、読もうと思っている人は、子供達がどう死んでいくか、ではなくて
残りをどう生きようとしたのか……を見てあげて欲しいです。
それと、彼らが戦いの中でした選択を。
死を設定にしていながらも、そこにあるのは「強烈なまでの彼ら(ぼくら)の生き様」でした。
そこを敬遠していて読まないというのは、後々の読後感を考えると実にもったいないと思える作品だと思います。
最初は確かに「ロボットに乗って戦えば死ぬ」という設定に引くことはあるけれど、だんだんと次の子供はどうやって戦いに挑む決意をするんだろう、残りをどう過ごすんだろう、そして周りの大人達は……?
……と、目が離せなくなっていきます。そして「自分だったらどう考えて、どう過ごすだろう」ということも考えるようになります。
詳細をあまり描かずに突き放した簡潔さでエピソードを終える時もあるので、読者にはあれこれと想像する余地がたくさん残されています。実に想像力を刺激される漫画です。
そこにとても惹き付けられる作品でした。
最終回、どんな内容であってもついていきます。
「ぼくらの」戦いは無駄ではなかったと、後に残されたあの地球の人たちは、意識してそしてどれだけ「ぼくらの」戦いが大変なものだったのかを気づいて欲しいなぁと思います。
コメント
コメありがとうございます。
感動というか、確かに感動もするんですが、それ以上に子供達の壮絶な生き様(死に様)と
刻々とせまる死の瞬間までの戦いの描写とか、色々な想いがうずまいて切なさも感じて……。
「何故、彼らが?」という、やりきれなさとかでも涙します。
かなり挑戦的な作品ですよね。
巨大ロボットが一番(少なくとも作中の地球では)目立ってるのに、
「ぼくらの」ではむしろパイロットの生き様を描いてるんですよね…
いろいろと考えさせられます。